医療法務支援
⑤解散・分割・合併手続き
1. 解散
2. 合併と分割
1. 解散
【医療法人の解散事由】
定款(寄附行為)をもって定めた解散事由の発生
目的たる業務の成功の不能
社員総会の決議(医療法人社団の場合)
他の医療法人との合併(合併により当該医療法人が消滅する場合に限る)
社員の欠亡(医療法人社団の場合)
破産手続開始の決定
設立認可の取消し
2と3の事由による解散については、あらかじめ医療審議会の意見を聴いたうえで、東京都知事宛てに解散認可申請を行います。都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じません。
(医療法第55条第6項、第7項)
1と5の事由により解散した場合は、医療法人解散届を、東京都知事宛てに提出。
解散届は解散・清算人就任の登記後、速やかに提出します。
届出者は清算人となります。
(医療法第55条第8項)
解散認可申請
解散認可申請書類の提出は、解散に係る年間スケジュールをご確認して、あらかじめ医療安全課医療法人担当の担当者とスケジュールを十分に調整の上、仮申請(解散認可を受けるために作成した草案一式)により、事前審査を受ける必要があります。
出典:医療法人設立、解散、合併認可等に係る年間スケジュール(令和7年度)|医療法人の設立・運営|東京都保健医療局
:医療法人運営の解散に関する手続き|医療法人の設立・運営|東京都保健医療局
:医療法人運営の手引(令和7年4月版)|医療法人の設立・運営|東京都保健医療局
【解散認可後・解散届提出後の手続】
①解散登記、清算人就任の登記
↓←解散届提出
②官報に掲載して公告(2か月以内に3回以上)
↓
③清算結了登記
(医療法第56条の8第1項、第4項)
2. 合併と分割
「合併」
2以上の医療法人が法定の手続によって行われる医療法人相互間の契約によって、1の医療法人となることであり、消滅する医療法人の全資産が包括的に存続する医療法人又は新設の医療法人に移転すると同時に、その社員が、存続する医療法人又は新設の医療法人の社員となる効果を伴うものです。
「分割」
法定の手続によって行われる医療法人相互間の契約であり、 当事者たる医療法人が事業に関して有する権利義務の一部が他の存続する医療法人又は新設の医療法人に移転する効果を伴うものです。
社会医療法人・特定医療法人、持分あり医療法人について、分割制度の対象となりません。
(医療法第60条、医療法施行規則第35条の6)
事業譲渡の場合、病院の廃止届出・新規の開設許可が必要となることや、債権者の個別の承諾が必要となる等、手続が煩雑になります。
留意点
債権者の保護(医療法第60条の4、第60条の5及び第61条の3関係)
債権者公告(医療法第60条の5)
【合併の種類】
吸収合併
医療法人が他の医療法人とする合併であって、合併により消滅する医療法人の権利義務の全部を合併後存続する医療法人に承継させるものです。
【合併前後の法人類型】
合併前の法人類型 合併後の法人類型
社団 社団 → 社団
財団 財団 → 財団
財団 社団 → 社団又は財団
持分ありと持分あり合併の場合、 持分あり又は、持分なしの選択ができます。
社団たる医療法人と財団たる医療法人の合併での場合、存続が社団は持分なし、存続が財団は財団となります。
それ以外の合併は、持分なしとなります。
新設合併
2以上の医療法人がする合併であって、合併により消滅する医療法人の権利義務の全部を合併に伴い新設する医療法人に承継させるものです。
新設なので社団は持分なしの設立となります。財団と財団の合併は財団。
社団と財団の合併は持分なし又は、財団の選択の選択ができます。
【分割の種類】
吸収分割
吸収分割する医療法人を「吸収分割医療法人」といい、医療法人がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の医療法人に承継させるものです。
新設分割
新設分割する医療法人を「新設分割医療法人」といい、1又は2以上の医療法人がする分割であって、その事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割に伴い新設する医療法人に承継させるものです。
【吸収分割】
分割前 〇〇 △
↓ ↓
分割後 分割法人〇 〇△ 分割承継法人
【新設分割】
分割前 〇〇 △△
↓ ↓ ↓
分割後 分割法人〇 〇△ △分割法人
分割承継法人
単独新設分割型分割
出典:国税庁 医療法人が行う単独新設分割の適格判定について
合併の手続き
合併契約
医療法人が吸収合併をする場合には、吸収合併存続医療法人と吸収合併消滅医療法人との間で、吸収合併契約を締結しなければならない。
医療法人が新設合併をする場合には、新設合併設立医療法人と吸収合併消滅医療法人との間で、新設合併契約を締結しなければならない。
(医療法第58条、法第59条 )
社団たる医療法人の場合
総社員の同意(医療法第58条の2第1項)
財団たる医療法人の場合
寄附行為に合併することができる旨の定めがある場合、理事の3分の2以上の同意(医療法第58条の2第2項、第3項)
【合併認可申請】
①事前相談
②申請書類の準備
↓申請
③申請書類の審査
↓諮問
④医療審議会の審議
↓答申
⑤認可書の作成
↓交付
⑥債権者へ催告(2か月)
⑦登記(司法書士業務)
吸収合併の手続 (医療法第57条から第58条の6まで及び第67条)
新設合併の手続 (医療法第59条から第59条の5まで及び第67条)
出典:東京都保健医療局 第6章合併手続PDF
分割の手続き
医療法人が吸収分割をする場合には、吸収分割医療法人及び吸収分割承継医療法人との間で、吸収分割契約を締結しなければならないこと。
医療法人が新設分割をする場合には、新設分割計画を作成しなければならないこと。また、2以上の医療法人が共同して新設分割をする場合には、 当該2以上の
医療法人は、共同して新設分割計画を作成しなければならな いこと。
吸収分割契約又は新設分割計画について
社団たる医療法人の場合
総社員の同意(医療法第60条の3第1項)
財団たる医療法人の場合
寄附行為に分割することができる旨の定めがある場合、理事の3分の2以上の同意(医療法第60条の3第2項、第3項)
分割の認可の申請(医療法施行規則第35条の8及び第35条の11関係)
吸収分割の手続 (医療法第60条から第60条の7まで及び第67条)
新設分割の手続 (医療法第61条から第61条の6まで及び 第67条)
出典:東京都保健医療局 第7章分割手続PDF
出典:合併、分割認可申請 その他の認可申請様式
合併及び分割認可申請スケジュール
東京都【 第 2 回 】
申請書の受付期間:令和8年3月12日(木曜日)から
令和8年3月18日(水曜日)まで 郵送必着
医療審議会の開催:令和8年8月初旬
認可書の交付 :令和8年8月下旬
※必ず申請の事前に担当まで相談が必要となります。
出典:医療法人設立、解散、合併認可等に係る年間スケジュール(令和7年度)
:厚生労働省 2016年3月25日掲載 医療法人の合併及び分割についてPDF(平成28年3月25日付 医政指発0325第5号)
※保険診療に関する届出や労務関連の手続き等につきましては、社会保険労務士の業務範囲となるため、必要に応じて先生方の顧問社労士との連携、または当事務所からの引き継ぎにて対応いたします。
※登記手続きは、司法書士の業務範囲となるため、連携のうえでスムーズに進められるよう調整いたします。
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